歯科
痛みや苦痛に配慮した治療を常にこころがけています
「小さいむし歯なのに、大きく削られてしまった」
「むし歯が大きくて、神経を抜く処置が必要と言われた」
「治療中の痛みが不安」
今までの治療は、歯を大きく削ったり神経を抜くため痛みや苦痛が伴いました。こうした治療に代わり、最近では痛みや削る量を抑えた治療が主流です。当院でも、身体への負担が少ないMI治療(ミニマルインターベンション)に取り組んでいます。
●ミニマルインターベンション(Minimal Intervention)
むし歯になった部分だけを削り、処置をする治療方法です。「最小限の侵襲」と訳され、感染部だけを削るので歯に与えるダメージがありません。また、削る量をできるだけ抑えるので神経を残せる可能性が高まり、歯の寿命を延ばすことができます。
【MI治療】拡大鏡を使った治療
肉眼では判断が難しい場所や細かい処置が必要なとき、拡大鏡で患部を拡大しながら治療をします。3倍、6倍、10倍の3種類の拡大鏡を使い分けることで、症状に合わせた治療ができます。拡大鏡の使用で削り過ぎや削り残しのない治療が可能になりました。
当院の歯科衛生士は5倍の拡大鏡を使い、細かい歯垢や歯肉縁下の歯石をしっかりと除去し、「う蝕の予防」と「歯周病の予防と改善」で精密な治療を心掛けています。
より正確で安全な処置が、診療レベルの向上になり、患者さんへの最大の貢献ができると考えています。
【MI治療】う蝕検知液でむし歯を削る
治療後の再発を抑えるには、むし歯を削り取ることが大切です。しかし、肉眼では完璧に取り除いたように見えても、拡大すると細菌が残っていることがあります。そこで当院では、う蝕検知液を使ったむし歯治療を行っています。
う蝕検知液を歯に塗るとむし歯に感染した部分が染まるので、むし歯だけを的確に削ることができます。これにより、削る量を抑えた治療ができるようになりました。
【MI治療】高速エンジン
ドリルで歯を削るときの痛み・振動やキーンと響く金属音は、患者さんにストレスを与えます。当院では、高速エンジンのドリルを使った、痛みや音を抑えた治療を行っています。高速エンジンの特徴は、回転数が早いので削るときの振動が少ないこと。通常のドリルに比べて騒音や痛みに配慮したので、お子さんでも怖がらずに治療を受けられます。
【MI治療】手用切削器具(スプーンエキスカベーター)
神経に近いむし歯を削るとき、ドリルを使うと削り過ぎてしまうことがあります。削り過ぎは、手用切削器具(スプーンエキスカベーター)を使うことで防げます。手用切削器具は歯を削る金属器具で、手に持ってむし歯をていねいに削り取ります。処置時間はかかりますが、削る量を抑えられます。
【MI治療】レーザー治療
国内で歯を削ることが認可されたEr:YAGレーザー(エルビウムヤグレーザー)を使用し、痛みに配慮した治療を行っています。レーザーを照射するとむし歯だけに反応して、痛みや苦痛を与えずに一瞬にして悪い部分を取り除くことができますので、非常に安全性に配慮した装置です。当院では他にNd-YAGレーザー(ネオジウムヤグレーザー)も導入しています。
レーザーには傷ついた細胞の修復作用や治癒力を促す働きがあり、痛みを緩和して出血の少ない、低侵襲(患者さんの身体を傷つけない)治療が可能になりました。
できるだけ歯を守る治療
保存療法で歯を残す
当院は、できるだけ歯を残すことを基本にした治療を行っています。むし歯の大きさによって異なりますが、覆髄材やMTAセメントなどを使って、歯を残すため可能な限り努力します。神経近くまでむし歯が達していても、自然治癒力で炎症が落ち着く場合があるので、できるだけ抜髄をせずに経過観察をするように努めています。
治療回数が少なくなれば、治療中の痛みや精神的なストレスも減ります。可能な限り少ない治療回数で、歯を残すための努力をいたします。
【MTAセメント】神経の保存療法
神経の保存療法とは、MTAセメントを使った、神経を保存する治療法です。通常、神経近くまでむし歯が広がっていると神経を抜かなければなりません。この治療法が登場したことで、神経付近に達したむし歯でも、神経を残せる可能性が高まりました。
治療では、歯を削り、露出した神経の部分に抗菌作用のあるMTAセメントを詰めて、レジンなどで修復します。神経に達したむし歯には適応できませんが、海外では画期的な治療法として普及しています。
●MTA(Mineral Trioxide Aggregate)セメント
1993年にアメリカで開発された歯科用セメントで、歯の底に開いた穴や歯に入ったヒビを修復するときに使用します。生体親和性が高く、むし歯の穴や、開いた穴まで修復できる、応用範囲の広いセメントです。海外では1998年以降から使われ始めましたが、日本では2007年に認可が下りて覆髄材として使用できるようになりました。
<MTAセメントのメリット>
- 生体親和性が高く、予後が安定している
- 適応症例が幅広く、神経に達していなければ治療が可能
- 神経を保存できる可能性が高い
【歯内療法】根管治療で歯を残す
歯の痛みや腫れがあるのに治療をせず我慢していると、痛みが消えることがあります。症状がなくなったので安心しがちですが、歯の内側では大変なことが起きています。神経が壊死して根の先に炎症が起き、腫れたり膿が溜まったりしています。この状態になると治療は難しく、ひどい場合は歯を抜かなければなりません。こうした状態の悪い歯を救う治療法が歯内療法(根管治療)です。
重度のむし歯で歯のほとんどが失われたとき、治療したはずの歯が再び痛くなったり腫れたときなど、根管内(根の中)を薬液で洗浄し、可能な限り細菌を減らした後、根管充填材を根管内にできるだけ緊密に充填します。
根の先は複雑に分かれていて、しかも肉眼では見えないため、歯内療法を行うには経験と感覚が頼りです。当院では患部を拡大鏡で見ながら治療をするので、肉眼ではわからない根の先までしっかり確認でき、細かい作業も処置します。また、歯科用3次元エックス線断層撮影(CT)と手術用顕微鏡を用いて根管治療を行うこともあります。
できるだけ痛みに配慮した治療
麻酔注射や笑気麻酔による、痛みに配慮した治療に取り組んでいます。表面麻酔を効かせてから麻酔注射を打つので、針を刺したときの痛みや不快感が少なくなります。それでも痛みの不安が強い方には、笑気麻酔をお勧めしています。
笑気麻酔を使うと緊張がほぐれ、痛みの不安や恐怖が和らぎます。健康保険が適用できますので、痛みが苦手な方はご相談ください。
電解酸性機能水を使った歯科治療
電解酸性機能水(機能水)は、精製水に少量の食塩水を加えて電気分解した水です。殺菌力に優れており、薬品を一切含んでいませんので人体への影響はありません。根管治療や歯周病治療、外科処置後や口腔ケアなどで使用し、機能水でお口の中を洗浄して殺菌し、細菌の繁殖しにくい環境に整えます。
歯磨き後に電解酸性機能水ですすぐと、お口の中を除菌して、歯周病を防ぎます。また、インフルエンザや大腸菌O-157などのウイルスや細菌の殺菌作用もあり、電解酸性機能水でうがいをすると風邪を予防し、のどの痛みも緩和します。
<電解酸性機能水の殺菌作用>
エイズ / B型肝炎 / C型肝炎 / インフルエンザ / ヘルペス / 結核菌 / 黄色ブドウ球菌 / サルモネラ菌 / 大腸菌O-157 などのウイルスや細菌を死滅させます。
光殺菌治療(LAD)を使った歯科治療
当院ではFotoSan Blueという装置を採用しています。光殺菌治療とは細菌に感染した部分に、光感受性物質(リボフラビン)を注入して、FotoSan Blueで特殊な光を照射することで、患部を殺菌する治療法です。歯周病・歯肉炎・根管治療などに使用します。リボフラビンは水溶性のビタミンで、食品にも使われている安全な物質で光を照射することで活性酸素が発生し、殺菌効果を発揮します。
※光過敏症の患者さんには使用できません。
歯と全身の健康を考えた歯周病治療
徹底した歯周病治療
歯ぐきの腫れや出血が気になり始めたら、それは歯周病のサインかもしれません。歯周病は、細菌が引き起こす感染症です。日本人の約80%の成人に兆候が見られ、歯を失う原因のトップに挙げられています。
初期症状はほとんどなく、症状が現れたときにはかなり進行してしまっているのですが、早期発見・早期治療をすることで完治が見込めます。歯周病の進行を食い止めるには、原因となる細菌を除去し、細菌の繁殖を抑えることです。
歯周病の基本的な治療として、歯のクリーニングで歯と歯ぐきの間に溜まっている歯垢や歯石を取り除きます。そして、患者さんに適した歯磨き指導を行います。当院では、これらの基本的な治療に加え、歯科用レーザーや洗口液、医薬品などを使った歯周病治療を行っています。
全身の健康を考えたアドバイス
歯周病は生活習慣病ともいわれ、毎日の生活を見直すことで予防できます。特に歯磨きは歯周病予防の基本なので、歯磨き習慣を身につけることが大切です。当院では、歯周病治療と併せ、食事指導や生活習慣の見直し指導など、歯周病にならないためのアドバイスに力を入れています。
また、歯周病は全身疾患に影響を与え、中でも糖尿病とは密接な関係があるといわれています。院長は、公益社団法人日本糖尿病協会の登録歯科医で、糖尿病に関する知識が豊富です。専門的な立場から、歯と全身の健康を考えた口腔ケアや食生活、生活指導のアドバイスを行っています。
むし歯の進行状況と治療
むし歯とは、酸で歯が溶かされた状態のことをいいます。溶かされた状態により、進行状況はCO~C4に分類されます。
CO(初期むし歯)
歯の表面がうっすら濁った状態です。つやがなく白濁していますが、まだ穴は開いていませんので、痛みやしみがありません。この段階であれば、歯磨きやフッ素塗布で再石灰化が期待できます。
C1(エナメル質のむし歯)
エナメル質が酸に溶かされて白く濁っている状態ですが、痛みやしみはありません。この段階では、むし歯を削って保険の白い詰め物を詰めます。
C2(象牙質のむし歯)
歯に小さな穴が開き、むし歯が象牙質に達した状態です。冷たい物や甘い物を食べたり飲んだりすると、痛みやしみを感じるようになります。この段階ではむし歯だけを削り、保険の白い詰め物を入れます。
C3(歯髄のむし歯)
歯に大きな穴が開き、むし歯が神経付近にまで達しています。舌で触ると穴がはっきりわかり、食べ物が神経に触れると痛みやしみがあります。この段階になったら歯を大きく削り、抜髄処置(神経を取る処置)をして被せ物を被せます。
C4(根の先のむし歯)
むし歯が根の先まで達し、さらに悪化すると根の先に膿や炎症が起きて激しく痛みます。この段階では歯を大きく削って抜髄処置を行い、被せ物を装着します。それでも完治が見込めない場合は、残念ながら抜歯となります。